昨年は文章作成ができるAI(人工知能)であるChatGPTが話題になりました。コンピュータのプログラムも書けるということなので、試しに ChatGPTに条件を与えて、遊びで作っていたプログラムの一部を任せてみました。すると予想以上の出来ばえで、こんなサービスが無料で利用できる時代になったのかと驚きました。そのうちにこのコラムもChatGPTにお任せするようになるかもしれません。
ChatGPTに代表される今どきのAIは「生成AI」と呼ばれます。これまでのAIは学習したデータから回答を探すことしかできませんが、生成AIは新たなオリジナルの回答を作り出すことができます。これは大きな進歩で、生成AIは応用範囲を広げながら私たちの生活に浸透してきています。
ただし注意点もいくつかあり、例えば途中の過程がブラックボックスになっているので「なぜそうなるのか」という根拠がわからないのだそうです。私たちは、何となく使っているけど実は動作原理は知らない数多のモノに囲まれています。スマートフォンがよい例で、使われている無数の部品の動作原理や動いているソフトウェアについて、全て説明できる人はおそらくいないでしょう。そもそも全てを知りたいとも思いません。自分にはできないことをしてくれるのですから、積極的に使えば良いのだと思います。
浄土真宗では「念仏して浄土に参って仏になる」といいます。しかしその背景について、私たちはあまり気にすることがありません。どこか生成AIに似ていると思いませんか?
当然ながら背景には阿弥陀仏の願いや修行そして教義があり、それを学ぶことはできるので、ブラックボックスの生成AIと同じではありません。しかし背景を理解することは強調されません。なぜなら大切なことは背景がわかることではなく、仏になるという「果実」を得ることだからです。先達たちが何よりもまず念仏を称えなさいと勧めてこられたのは、そのような理由からなのでしょう。