去る12月に父である前住職が亡くなりました。葬儀では近隣から多くの方が参列に来られ、別れを惜しんでくださいました。心より感謝申し上げます。
父の遺品を整理していると、この句を記したメモが見つかりました。お勤めの後の法話をする時に使っていたのかもしれません。
仙厓義梵は、禅の教えをわかりやすく説くために多くの水墨画を描きました。この句が書かれている絵は、真ん中に強い風に吹かれている柳の木が描かれていて、その右に大きく「堪忍」と書かれています、そして、絵の左に「気に入らぬ 風もあろうに 柳かな」と書いてあります。(如来寺ホームページより)
人生は苦難の連続である、これは仏教に通底する人生観です。時には理不尽な扱いを受けて腹に据えかねることもあるでしょう。よくお勤めする『讃仏偈』にも「戒忍精進」とあり、この忍は忍辱(にんにく)の略です。たとえ侮辱されても怒りの心を起こしてはならないということです。
怒りというのは洪水のように、全てを押し流してしまいます。感情に任せて自分の正義を主張すると、仮にその時はよくても、後になって後悔することが多そうです。自分の知らないところで噂になって、評価が下がるかもしれません。正面から受け止めるのではなく、柳のように柔らかく受け流すことが実は大切だということでしょう。
メモを見て、これは短気な私を心配して、父が最後のアドバイスを残してくれたんだと思えてなりません。ありがとう。