「母親似でブス」を自称する作者は、自分の容姿が好きではないようです。もしかすると、失恋した時にあまりに辛くて、ブスのせいにして母親を責めるより他に方法がなかったのかもしれません。その時に、お母さんはやさしくなぐさめてくれたのでしょう。
でも娘は同じ現実を笑って言える。本当は悩んでいるかもしれないけれど、少なくとも受け入れている。それは容姿に否定されないものを持っているからでしょう。明るい性格で、異性を引き付ける魅力があるのかもしれません。「ブスだから」と「ブスだけど」は2文字の違いですが、それは大きな違いなのですね。
それにしても、自分の母親に向かって「ブス」と言えるのですから、何でも言える仲の良い家庭なのでしょう。私から見れば、逆にうらやましく思います。そして何度も読み返すと、作者の持つ母親への愛情と、娘のことを誇らしく思う気持ちが行間からあふれているような気がします。
「親ガチャ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。子供が親を選べない状況を、ガチャ(ゲームコーナーにあるカプセル玩具のくじ引き)に例えた言葉です。親の不仲、過干渉、ネグレクトなどでしんどい思いをしている子供はたくさんいるので、彼らのことを考えると心が痛みます。その一方で、娘にとっての「ブス」と同じように、「親ガチャ」は重くて言いにくい現実を軽妙に口に出せる響きをもっています。悩める若者が、周囲の支援を得て、力強く人生を切り開いてくれることを願います。


