2023年3月のことば

この口からお念仏 阿弥陀さまはいつもご一緒

独り言の効能

法事が終わって座布団から立ち上がる時に、あちこちから「よっこらしょ」の掛け声が聞かれます。あとで「歳をとったからなぁ」と照れくさそうな表情をなさるのですが、ご心配なく。私も一日に何度も口にしています。

力を入れる時の掛け声には効能があって、身体や精神を支える「杖」として、負荷を軽減させる効果があるのだそうですよ。声って、心とカラダに効くんですね。

独り言はどうでしょうか? 私はパソコン仕事を始める時に「さぁ(始めるぞ)」と言って気合を入れ、作業が一区切りついたら「はぁ~」と言って気持ちを緩めます。思うように作業が進まない時には「何でー?」。独りの時もけっこうにぎやかに過ごしています。

脳神経科学者の毛内 拡(もうない ひろむ)さんによると、「独り言には心のモヤモヤを解消したり思考を整理したりするはたらきがいくつもある」のだそうです。

  1. 「自己効力感」が高まる
    「これが終わったら、次はあれをやって・・・」など、行動する前に予定をつぶやくと、思考が整理されて行動がスムーズになります。予定通りに動けると達成感を得られ、「自分ならできる」という「自己効力感」が高まります。それが自信につながるのです。


  2. 理想が現実になる
    日頃から口に出している夢や理想は、実現しやすいと言われています。これは目標が音声で脳に届くことで行動が変わるから。人にはあまり話せないような夢も、独り言として言葉にすることで、実現に近づきます。
  3. 問題が明確になる
    漠然とした不安や悩みがある時に、「何が変わればいいのかな」などと、ひとりでつぶやいていると、悩みの原因が少しずつ明確になっていきます。原因となっている問題がわかれば解決方法も見つかりやすくなり、心がスッキリします。

  4. バイアスを矯正する
    脳には経験による思い込みによって、無意識のうちに自分に都合のいい情報ばかりを取り込んでしまう癖があります。「あれ?」「ほんとに?」などと、声に出して疑問を脳に届けることで、脳が情報の偏りに気づき、思い込みが矯正されます。

毛内さんオススメの独り言
ぜひ、つぶやいてみてください。

  • 「わからない」
    自分が抱えている問題を明確にするきっかけとなる言葉です。「何でうまくいかないのか、わからない !」などとつぶやくことで、脳が原因を探し始め、解決策が見えてきます。

  • 「○○しよう」
    忙しい時は、やるべき事を声に出して言いましょう。思考が整理され、具体的にどのように進めていけばいいのか、脳が模索しやすくなります。

  • 「ラッキー ! 」
    ツイていることがあるたびに、「ラッキー !」とつぶやきましょう。スーパーで食材が安くなっていた、道を譲ってもらったなど、どんなに小さなことでもかまいません。口に出すことで行動が変わり、次の幸運が近づきます。

  • 「もうダメだ」
    一見ネガティブな言葉に思えますが、現状を打破したい時にはおすすめです。ネガティブな感情は放置せず、独り言を使って現状を脳に把握させるのが良いのだそうです。脳が「行動をリセットして仕切り直したほうがいい」と判断し、解決に向けて背中を押してくれるでしょう。「悲しい」「悔しい」なども吐き出してOKなのです。

  • 注意:反対に、過去を悔いたり未来を無駄に心配したりするような独り言は、脳を疲弊させてしまうので控えたほうが良いそうですよ。
     ×「ツイてなかった」  ×「またやってしまった」

独り言でお念仏

お仏壇にご飯をお供えする時に、皆さんはお念仏しますか? もしも黙って合掌するだけなら勿体ない。せっかくですから試しに「ナンマンダブ」と、独り言のお念仏をしてみてください。口から出て耳に入る念仏は、毛内さん流に言うと「脳に届いて」、あなたを変えていくでしょう。

参考文献:PHPスペシャル 2024年11月号